大正元年創業の老舗ショップが仕掛ける、新イベント”あさコレ”が始動!
東京・浅草ヨーロー堂にて『浅草ガールズコレクション』が開催!出演は西田あい、歌恋、石川えりな
4月12日、歌謡ファンにはお馴染みのCDショップ、東京・浅草ヨーロー堂にて『浅草ガールズコレクション』と題するライヴイベントが行われた。出演は西田あい、歌恋、石川えりなの3名。
企画・主催した同店・松永好司氏によれば「ツイッターを大いに活用しているという点で人選したところ、偶然クラウン所属の3人になりました」とのこと。 「遅まきながらツイッターを始めたら、情報発信・交換のためのツールとしての有効性を感じて、これは実に面白いメディアだと確信したものですから、ツイッターを絡めたイベントを開いてみたいと思ったんです」と企画意図を語る松永氏。
演歌・歌謡曲ファンは、しっかりネットを活用してる。皆さん情報をキチンと受け取って、足を運んで下さっています
同氏は、大正元年創業の歴史を誇る同店の4代目にして、現在の演歌・歌謡曲の世界では知らぬ者のない存在。それは穏やかで温かみのある人柄や、熱心な営業姿勢のためもあるが、時流を捉えた柔軟な企画力や行動力にもよる。演歌を主に扱うCDショップの中で最初にホームページを立ち上げたのも同氏だ。
「演歌・歌謡曲の分野は、インターネットなどの新しい技術やメディアへの対応が実に緩やかですが、私は自分自身の興味や好奇心に従って、まず動いてみます。抑えが利かないというマイナスもあると思いますが(笑)、ホームページ開設については、やはり新しいメディアについての知識も豊富で、よき理解者でもあった『月刊演歌ジャーナル』の森島みちお編集長(故人)に高く評価していただき、それが励みになったこともあって運営を続けたところ、今ではあって当たり前のものになりました。
当時は、演歌・歌謡曲のファンはインターネットを活用できない世代なのに、なぜ無駄なことをするのか?といったような冷ややかな反応を見せる方もいらしたんですが、レコード店も情報の発信者であると考えれば、お客様を先導していくことも必要だと思います。実際に全国の店舗で、なかなかカセットテープから離れられないユーザーの方たちに、CDの利点をお知らせするなんていう作業や、お薦めの楽曲や歌手をご紹介するといった活動は行われてきたわけですから、インターネットを利用すると便利ですよ!というご案内も、私にとっては自然なことだったんです。
今でも、演歌・歌謡曲ファンの多くはネットを使えないと思っている方、言っている方が業界内にはよくいますが、例えばうちの常連さんについてお話しすれば、ご年配の方でもネットを活用されています。ご自分で操作するのは苦手という方は、ご家族にお願いして利用されているようですし、店で行うキャンペーンの情報などは、速報性の面からホームページを通じて発信していますが、皆さんキチンと受け取って、足を運んで下さっています」
さて、そんな松永氏の呼びかけに3名それぞれの所属プロダクション、およびレコードメーカーである日本クラウンは積極的に対応。実施に向け、3名はLINEで打ち合わせを行うなどして企画を練り、当日を迎えた。
白のドレスと透明感のある歌声で新鮮な印象を振りまいた、石川えりながトップバッター
ヨーロー堂2階のライヴスペース”浅草演歌定席”には、定刻の13時前から多くの入場者が詰めかけ、最終的には入りきれないファンが階段に立って歌を聴くという盛況(約120名収容)に。フードファイターとして活動中の青木優子の司会により開演するとトップバッターの石川えりなが登場。熱気に包まれ、声援や拍手が場の空気をさらに盛り上げる中、デビュー曲の「つぶやき」や「五番街のマリーへ」(ペドロ&カプリシャス)「セカンド・ラブ」(中森明菜)などを披露。
白のドレスと透明感のある歌声で新鮮な印象を振りまいた。「それでは次で最後の曲になります」との言葉には多くのファンが同時に「エーッ!?」と声を上げるお約束。ステージと客席との円滑なコミュニケーションを実感させた。
演歌・歌謡曲系のセオリーを打ち破るビジュアル戦略が印象的な、歌恋。歌唱でも高い技能を発揮
2人目に登場したのはレモンイエローのドレスに身を包み、大きく開いた胸元からこぼれんとするバストが眩しい歌恋(途中、ステージを下り、一人ひとりと握手をしながら客席を回ったが、ファンの眼前にはさぞや絶景が広がっていたことだろう)。演歌・歌謡曲系では着物が基本で、肌の露出は抑えるのが通常だが、そのセオリーを打ち破る彼女のビジュアル戦略には窓から吹き込む新風にも似たものが(他の分野では当たり前なんだけどね…)。しかし歌ってみれば唸ってコブシを回して演歌歌手としての高い技能を発揮。さらに親しみやすさの中に、頭の回転の速さを感じさせる如才のないトークでファンを楽しませた(歌唱曲はオリジナルの「女の純情」「泣くなオカメちゃん」に、所属事務所の先輩歌手の代表曲による「サンミュージック・メドレー(アンコ椿は恋の花~北の宿から~みちづれ)」など)。
若手女性歌手の中では他を一歩リードしている感のある西田あいが、落ち着いた雰囲気で好印象を残した
「なんで(持ち時間が)25分しかないの? 1時間くらいやりたいなぁ…」と言いながらコーナーを終えた歌恋に替わってステージに立ったのは、西田あい。この分野の若手女性歌手の中では他を一歩リードしている感のある彼女。登場と共に熱気は最高潮に達する。 「先日『歌謡コンサート』に出演させていただいた時の衣装です」という白のドレスで、「月見草」「砂の花」「横浜ハーバーライト」「ゆれて遠花火」「雨おんな」を、やはり途中にファンとの握手を交えながら歌ったが、先の2人より年上ということもあって、やや落ち着いた雰囲気。これが三様の個性の中で際立ち、好印象を残した。
ジョイント企画ならではの、3人歌唱と4ショット撮影会
そして最後はジョイント企画の醍醐味である特別企画。先に触れたようにLINEで曲目を決めたというキャンディーズの「年下の男の子」を3人で披露。実にフレッシュで楽しく、ファンも手拍子で参加、会場が一体となり、心地よい余韻を残しつつステージは終了、ファン待望の4ショット撮影会に移った(ライヴには3名のうちいずれかのCD購入者が入場でき、寄せ書きサイン色紙と4ショット撮影の特典付き)。
ソーシャルの連動には課題が残る結果に。しかし、イベントは120点で大成功
気になるツイッターとの連動だが、そこで情報を得たという来場者は約1割。また、”あさコレ”のハッシュ・タグによる発信は翌日まででおよそ100件といったところ。
松永氏は「想ったより少ない数でしたが、来場された方々やご出演の皆さんが、本当に楽しかったと言って下さいましたし、私自身も心から楽しめ、充実感も得られましたので、100点満点で120点のイベントになったと言ってよいと思います。 会場からツイートして下さっていた方は、歌手の方たちと同じ時間を共有しているという実感をさらに深くできたでしょうし、ご来場いただけなかった遠方のファンにも、ほぼ同時にイベントの模様が伝わったことを考えると、こうした企画をもっと拡げていきたいという気持ちが強くなりました。
アイドル性の高い若手の台頭で、演歌・歌謡曲の分野でも握手会などのイベントが盛り上がり、その意義が見直されていますが、ツイッターは”つながり”を感じられる点でホームページやブログ以上の効果を持っていると思いますので、今後ますます活用されることで、業界の活性化に結び付いてほしいですし、その一助になれたらと思っています」と振り返る。
課題は期待の余地。低迷する現状を打開する起爆剤として期待
低迷する現状を打開しようと各所で演歌・歌謡曲のジョイント・ライヴが開催されているが、内容は2004年にスタートした『東京演歌ライブ』と同様またはその拡大版といったところ。『浅草ガールズコレクション』略して”あさコレ”は、そこにネット上のメディアとコラボするという新たな試みを加えたことで、そうした状況から一歩先に進んだと言える。趣旨であるツイッターとの連動については想定を下回る結果となったが、今後の課題は期待の余地でもある。引き続き、浅草からの発信を楽しみにしたい。
・音のヨーロー堂
・音のヨーロー堂@twitter
・西田あい オフィシャルブログ
・歌恋 オフィシャルブログ
・石川えりな オフィシャルブログ
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